アートギャラリー 閑々居 戻る

12月
苧坂恒治 作陶展

12月10日(木)-20(日)
今年も最後の企画になりました。隣のビルの解体やらこのビルの改装やらで誠に落ち着かない一年でしたが、来年は西野正望さんから苧坂恒治さんまで閑々居らしい企画でまいります。
 
暮れにふさわしい楽しい苧坂作品、ご覧くださいませ。今回も苧坂さんの造形感覚の面白さに驚いております。また、富士山の赤絵が人気で嬉しいこと。

「良いお年を、」のご挨拶をさせていただけますよう、ご来廊をお待ちいたしております。、
 
 不思議な花入れです。大きいのです。エネルギーたっぷりの逸品。
   
 堂々たる花器。活けて良し、飾って良し。 なんでも素敵になってしまう 可愛い蓋物。

11月
EXHIBITION :過去へ:
園家 誠二

 :過去へ:という会名が説明を要するようです。
イメージが紙の上に現わされた瞬間が現在といえるので、それはあるような、ないような瞬間(観念)にすぎません。
あるような無いような瞬間に生まれた表象を載せた紙は、しっかりと実存として過去となり続ける瞬間を重ねていくのです。しかし過去に向かうのは紙と絵具。イメージは過去にはなりません。


そして、私たちは紙をみているのでもなく、絵具をみているのでもないことに気付くのです。

   
 2015 no.1  2015no.2

 
2015no.3  2015no.4

大泉佳広

想次元〜想次元

3月20日(木)−31日(月)

 
 TAIYOU  NO SUMIKA  平面  100号   エレベーターに積めず、天井にひっかかり、
エンヤラコ、と運んだのです。しかしどうしても立体に見えてくるんです。
 
 美術の窓誌に技法を公開したので、今回は閑々居で22日(土)まで、公開制作です。楽しそうに描いておられます。
太鼓に絵を描いているように見えますが、平面作品です。

間がなーい!イメージをゆっくりコネクリマワス時間がなーい、と大泉君の「創りたい遊びたい心」の欲求不満がふくらんでいました。
大学というのは超忙しいのですね。また宮崎というところは地域と学校の連携が密なようで、ずいぶん県や町の催事にも力を貸してこられたようです。宮崎の方々は大泉佳広という便利なアイディアマンが来た、くらいに考えているのでは?本人も本気でなんでも楽しんじゃうし。しかし、もー、判ってなーい。
大泉佳広は、生きる事と創る事が乖離していない類まれなアーティストです。

彼がひとりで遊ぶ「OーWorld」は実験室みたいなものでしょうか。カメラの3次元ではなく、キャドの3次元でもなく、大泉の「想次元」創出の研究。博士論文のテーマだったくらいですから大真面目です。
でもなんだか懐かしいくありませんか?秘密実験室や怪しい研究。今回は怪しい研究の成果(?)がどっさり届きました。画廊はおもちゃ箱化しています。
昨日、展示しながら「鏡って、左右反対に映るでしょ、なんで上下反対にならないんだろう・・・」と言ってました。

     
 SUMIKA 30号  何の棲家なんでしょう。  TOKI NO KATAMARI 21x62cm 3点組  振り子が揺れているんです。  HANA 4号
     
 SUMIKA  これこそ、何が棲んでいるのかしら?  JYUMOKU 4号  BLUE BUS BLUE  径27.5cm 歌の題名?おしゃれです。

                   3月のNEWS
西野正望さんが日本橋コレド1の三井ホールで12mのやまと絵を公開制作中。
「江戸桜ルネッサンス」という新コレド2号館3号館のオープンに合わせたイベントです。
とても華やかな催しで、金魚から江戸切子、素晴らしい着物、千代紙やら下駄やら、美しいしつらえで見せています。映像も駆使して。
3月7日ー30日11:00−23:00  西野さんは19:00まで。

その会場内に12mの巻物を延べて西野先生が江戸日本橋の現在と未来をシコシコと毎日描いているわけです。入場料1000円。夜はライブコンサートなどもあって充分たのしめます。 


2014年

あけましておめでとうございます。
今年もよろしく!

美味ご推奨の陸前高田 広田湾の牡蠣 

新年早々に良いおたよりが来ました。皆様のご支援の賜物です。
陸前高田の漁師さん一家「鈴木家」は、船が出来まして、お家が出来ました。
昨年来、取り組んでこられた牡蠣の養殖も軌道に乗り、出荷が始まったとのこと。
早速にお願いして送っていただきました。
まー、その美味しいこと。大きくてしっかりした白黒はっきりの逸品です。
クイシンボの北條が欣喜雀躍。おすすめです。
支援といっても美味しくなければダメですから。


ご希望の方は下記まで。
鈴木実津子 さん
029-2207 陸前高田市小友町字中西31-1
Tel/Fax 0192-56-2148 朝が早いのでFAXが便利です。


12月
Merry Christmas to you!

12月5日(木)−18日(水)


苧坂恒治陶芸展

Co
ming, Dancing,
USAKA`s christmas

 

苧坂作品の魅力のひとつに「コワザ」があります。
「こんな処にこんな事してある!」
と見つけて嬉しい「コワザ」です。大胆な造形の塩釉にも
赤絵の繊細な絵付けにも「コワザ」がピリッと効いています。

赤絵の蓋物の底にも鳥や植物が絵付けされ、縁には細かな
ギザギザが彫られています。。
湯冷ましの取っ手の裏もすきまなくウズウズ。
そして塩釉長皿は充分遊んだ形の上に小さな小さな短冊模様。
ぶっきらぼうな花入には微かな櫛目、じっくり見なければ気付かない
ちっちゃな四角や曲線。

その、ひと押しが苧坂テイストを醸し出し、ただ者ではないぞ、と
思わせるのです。
完成度というのとも違う、破調とも違う、もっと根源的な造る喜び
がもたらしている仕業のようです。
そこに雑器とは言わせないアートモノの香りの素があるのでしょう。

おやおや!の可愛いもの、素敵なもの、重厚なものが閑々居の
年末を飾ります。
楽しみにお出かけくださいませ。
     
 リクエストの多い彩紋の中くらいの鉢、今年は3個きています。  ギリシャの遺跡のような、でも小さいポット  塩釉で丈夫な雑煮椀。どんぶりより小さくて、ご飯茶碗よりは大きい便利な器。外側の塩釉のしぶきが上品です。
     
 みごとな塩釉の鉢。底のガラス質の色がなんとも爽やか。  ザックリした姿は柿か栗かお芋のお菓子が似合いそう。  ファンの多い青釉に金銀のドット。足をたくさん付けたキッチュなお皿です。



11月
11月7日(木)〜20日(水)

間島秀徳
Exhibition 
Cosmic garden vol.2



  閑々居の窓から見える汐留の交差点。日本テレビの向こうにズンズンズーン!と出現した輝く「Kinesis tower」。
間島さんの頭の中では、このくらいのスケールでイメージされているらしい。

 現代文明を象徴するような「立方体の構造物」。
作家はそこに人類の哀しみを見ている。合理的で効率的であることがなによりも優先される20世紀社会。   
人間は矛盾に満ち、それぞれが個性を持っている生命体なのに、平均や確率の数式で作られた立方体の中に閉じ込められ、それに順応するように育てられてしまった。 ビルも田んぼも四角になって、効率よく生産性を高めた。

立方体をはみだすと生きていけないんだ、と自分の中の生命活動すらも制御しようとしてきた。そして、矛盾は大きくなり、生命体である人々は疲れ果てている。
21世紀に入って、やっと「スローに行こう」という掛け声が聞こえてきたけれど、現実はまだまだ立方体志向が主流。中身が爆発しそうでも「効率」は締め付ける。

過熱し、膨張するシンボル「立方体」は水に包まれ、水の塊となって鎮められていく。
表現というよりも祈りであると思う。

昨年の作品に連なる鎮魂のモニュメント。


展示は

 
 左 「Cosmic flow」  右「Cosmic iland」

見ていただかないと判らないのですが上部に島や岩礁やリーフのような凸凹があって、120cmの高さが1000mにも感じられます。
また、山や流れ、また霧が立方体に切り取られている不思議さもあり、間島秀徳が山水画と言っている表象が充分みてとれます。北條は勝手に「水中山水」と名付けております。 


バックナンバー VOL.2 (2013年6月ー2011年6月)

6月

EXHIBITION 園家誠二 <今ダ明ケズ夢ニ泛ブ vol.2>

 
「今ダ明ケズ夢ニ泛カブ」vol.2  165x230cm(2枚)
これではまったくみえませんね。実物でうっとりしてくださいませ。 


     
 「今ダ明ケズ」no.227.5x27.5cm  「今ダ明ケズ」no.3 24.5x33.3cm  「今ダ明ケズ」no.4 27.5x27.5cm


空から光が降るように、奥から色が差し込んで、私たちの目に届いてきます。
ゆっくり、ゆっくり見えてくる深部の彩り。
薄墨はオゾンのように内側に光を閉じ込めて底光りするのです。
幼年期の夢の中の風景を画面にそっと浮かべようという仕事を続けてきた園家誠二。
昨今、その風景は自立して、彼と一緒に生き始めたようです。
その世界の中で彼は「感覚体」とでもいうような無形のアンテナになっているのでしょう。
絵画として成立するぎりぎりのところなのに、別段、迷いもせず、力みもせず淡々と制作しています。
なんとも快い作品、ご覧ください。

2月

久野隆史
Exhibition

 春の窓

 2月14日(木)−27日(水)


  閉塞の壁に作家は、窓を穿つ。

重く、そして的確な力が撃ち開いた窓の向こうに、久野隆史は穏やかな光あふれる春を見ました。
静かに季節を受け入れて、芽吹き花をつけ、風を薫らせる春の大地です。


     
 光る花  10.8x13.4cm  双葉  15.5x18.0cm   仏手柑  31.1x33.3cm
     
 うつわ ー蔵ー  456x608cm   ヘビのおもちゃ22.8x15.9cm  誕生 10.9x23.0cm



1月

西野正望
EXHIBITION

<お米の島の物語>

1月20日(日)−31日(木)
20日の日曜日は営業します。27日の日曜日はお休みさせてください。

   平成メタボ合戦図
(部分)
コカコーラボトラーズが数年前にメタボ防止のお茶を発売。そのキャンペーンに西野さんが作成した大和絵の合戦図です。
よく見ると、みんなお腹がポッコン。こっそりおにぎりを食べていたり、ビリーズブートキャンプで進撃してたり、とっても愉快なのです。
B倍4枚という大きさで駅貼りになっていましたから、ご覧になった方もあるやも知れません。

こんな面白いものがポスターだけで終わるのはもったいないので、閑々居で一度展示したいと思っておりました。現代日本社会のカリカチュアでもあるし。

西野さんは合戦図ばかり描いているわけではないので、はてさてどんな企画にまとめようかと悩んだのです。一年ほど前でした。
西野さんとの会話が重なるうちに、彼がバリ島に通っていることが判ってきました。
  ゆったりした時間が流れ、明日が今日と同じであることを 大切にしている人々の島。
豊かな水を素晴らしい水利システムの棚田で充分に活かしてお米を作っている人々の島。

それはとっても昔の日本に似ています。日本書紀にスサノオがアマテラスに嫌がらせをする話が出てきますが、その原因が田んぼの違いにあったのです。
アマテラスは長くて狭い田んぼを持っていました。それは豊かな実りのある田んぼです。スサノオの田んぼは広くて平らな田んぼでした。日照りや洪水に被害の出やすい田んぼ。
どうも棚田と広田の違いのようです。
で、スサノウは「溝うめ、畝つぶし」といった嫌がらせをしたのでした。その他にもアマテラスの公けの場の席にウンコをしておいてアマテラスが座ってしまったり、織機のある部屋に馬を皮を剥いで、天井から投げ込んだりしましたから、ついにアマテラスは天岩戸に引きこもってイジメからエスケープしたのですね。

ことほど左様に、棚田は水の管理を上手にするととっても良い田んぼなのです。
今の日本が失ったのは、機械の入らない棚田だけではありません。豊かになり、お米もオカズもたーくさんあって、便利になって、そして健康を失い、明日がどうなるのか心配でしょうがない。
豊かさとは何なのか?
楽しく、美しく、そして深い、西野さんのメッセージです。

さあ、ふたつの<お米の島>の物語です。



12月

今年も残り少なくなりました。

 


赤絵うずうず模様、コバルト讃岐しおしおテクスチャー。どちらも捨て難く、迷います。
赤絵の細やかな彩色は、温かみのある手捻りにハードな押版で引き締めて。
コバルト系はキリッとひいた轆轤目をちょっと膨らませたり絞ったり、ちっちゃな部品で活き活き。
そしてどちらも苧坂国で生まれたオシャレな「異国モノ」 です。

       
 アショカ王の葡萄を盛るお皿。
21,000円
 聖酒ソーマの器。
9,500円
 これはガリバーのおみあげ
13,000円。
 クメールのどぶろく盃
5,000円
     
 北宋のうそつき雁と月のお皿。
13,000円
 ルソンの大巻貝は花入。
11,000円
 ケルトの酔っ払い用湯呑。
8,400円
 三星堆出土の水指。
84,000円


その他いろいろ茶室いっぱいに並んでいます。クリスマスイブまで開催します。印象的なプレゼントをお探しなら、
閑々居へ。


EXHIBITION 菊地武彦 11/8--21
土の記憶シリーズ  2012

   
 土の記憶 2012−16 土の記憶 2012−18
   
  土の記憶 2012−19  土の記憶2012−22
   
土の記憶 2012−23   土の記憶 2012−27


菊地武彦は昨年3月11日以来、「土の記憶」の意味を考え直したようだ。
人の営みがあまりにも脆く跡形も無く消えた地上の風景に、太古からの人類と大地の関わりを見たように感じたに違いない。
 
ある時、うち捨てられて埋もれていった縄文遺跡をめぐり、北関東に残る屋敷林に囲まれた活きた家々を眺めるうちに、そこに繋がる自分自身に気づいたのかもしれない。

600万年の人類の痕跡を土は記憶しておいてくれた。
そして、私達の生命の中にもあるはずのその記憶を、確かに菊地武彦はフラッシュのように見ている。
それが現実に起きた大災害を目の当たりにした時、作家自身のリアルな時間につながった。

大宇宙を内包しながらも、飯を食う日常の営みに過ぎていった時間とその痕跡を、47億年の「土の記憶」の表層に静かに展開する。

閑々居は今回、林に囲まれて穏やかに息づく人間の「巣」。私達は覚えている。コレを。

 

菊地さんが広角で撮ってくださいましたら、画廊がひろーく見えます。
右に並ぶ繰り返しの直線の林、右の茶室の有機的な形象、お判りいただけるでしょうか。




9月
9/20(木)−29(土)
<風を待つ>
横江隆史

 
「春昼」   油彩4号


北條なりにだんだん判ってきました。横江さんの作品。シュールリアリズムです。
もちろん本人は意識的に作っているわけではなく、見たいものを作っているだけですが、
この構造はシュールでしょう。。

毎日お仕事が終わってから新橋まで来てくれます。
辛抱強く、北條が何を知りたいのか横江さんも考えて、ポツリポツリと語ってくれます。
以下、理解のとっかかりになった会話。

会話 1.

「制作の中で何が一番大切だと考えているの?」
「デッサンです。」
「デッサン?」
「スケッチする時に、デッサンというのを意識してしっかり描いて、帰ってからそれを素にして
クレヨンでエスキースを作ります。それから絵にかかるんです。」
「そっかー、なるほどー。下図でかなり明確に行く先が見えてくる?」
「そうですね・・・。」

会話 2. 

北條とお客様が話していて、
「このさざえの絵、なんだか縄文時代の光じゃありません?それが良い具合!」
そこへ横江さんが近寄って来た。
「それなんです。今を切り取るんじゃなくて、長ーい時間を描きたいんです。」

ここで「判った!」

「青天白日」の海への道は、明治時代の千葉にも見え、大正の鎌倉にも、昭和の鳥取
にも見えて、いつでもない、どこでもない「懐かしい場所」なのです。
まさしく、シュールリアリスム。見回すと、どの作品もそうでした。

スケッチでは情報にあふれた現実の風景を無心に写しとって、画室では、なぜ自分が
その風景を選んでいるのかをエスキースを作るなかで判っていく。そこで削って、切って、足して、
横江的ナツカシ風景が作られていくんです。
そしてキャンバス上では絵具と筆が、光と空間を。
不思議な「時空」が柔らかに展開して私達の記憶の深いところへとゆっくり浸みてくるのです。


   
 貝を想う  6号  坂を越えて  4号


 
 青天白日  30号


8月

小滝雅道
<粒子遠近法>
8月23日(木)−31日(金)

 
 <粒子遠近法>象景−2
小滝雅道の<粒子遠近法>による作品と、故渡辺明節氏の
キネティック砂時計のコラボです。

砂時計は不思議です。
粒子の物理的法則とやらで、いつも同じ形に積みあがって同じ形に
くずれていきます。安息角と呼ばれる決まった角度の三角錐になる
のです。
その美しい整合をアーティストは見逃しません。
回転するキネティックな砂時計。

日本画の絵具、粒子の扱いに繋がっています。 流れる粒子はやはり
同じ象景を見せるのです。

   
 粒子遠近法 破岩山水図ー5  粒子遠近法 破岩山水図ー8


 象形文字を点でもない線でもない筆跡で言語から切り離し絵画空間に持ち込んだ小滝雅道は、
今回、東アジア絵画の成り立ちを絵具から、粒子遠近法と自ら名づけた新たな断面から捉えよう
としています。




7月

間島秀徳
EXHIBITION 
Cosmic Garden 


7/19
thu-7/31tue

 

 


これはKinesisシリーズの一環です。
この言葉がギリシャ語で「生成」というような意味を持っているというのは何度も書いてきました。
今回、間島秀徳が「キーワードは、Kinesis、枯山水」だというのです。はて?

Kinesisはアジアの概念だと思い当たりました。
BC1000〜500年頃のエーゲ海を囲む海辺の都市国家同盟とその影響下にあった地域で使われ、洗練されていった言語を一応、ギリシャ語とすると、そこは、ほとんどアジアといっていい場所。プラトンだってソクラテスだってたぶん黒い髪で黒い瞳だったはずですし。
メソポタミアやエジプトの文明の波をうけながら、独特な合理性をもった世界観が花開いたエーゲ海の黄金時代です。その後はアレキサンダー大王に征服されたり、ローマ帝国になったり、ビザンツ帝国だったり、長い間トルコ帝国だったり、と落ち着かない地域です。色濃くアジアなのにユーロ圏になったりするから、今も大変ですけれど。

ギリシャ語「生成そして変化、消滅 / Kinesis」は創造主を奉ずる世界では受け入れられない概念ですけれど、東とは共有できたでしょう。仏教やヒンドゥー教、もっと東の道教あたりでは教義の中心にあるではありませんか。

そこで「庭」ですが、中国の庭は陰陽五行の風水を整えて、清らかな気の流れを人工的に作り出す場所として考案されました。日本でも中国系帰化族、蘇我氏が最初に、池に島を浮かべた庭を造って「島のおとど」と呼ばれたりしています。道教したので、仏教系ともめたのですね。
その流れは平安時代、鎌倉初期まで続きますが、禅宗の渡来とともに変化して禅の観想と結びついた「枯山水」の庭が生まれます。
よく枯山水の庭が宇宙を表しているということが言われますが、そうではなく、研ぎ澄まされて「色」のない気が流れる景色を眼前にすることで、自己に内在する広大無辺、無量の宇宙を、クルリと裏返してKinesisさせる装置なのだと思われます。

間島秀徳のCosmicGardenは、制作の行為をKinesisとしてきたところから、もうひと押し突き放して「存在」とは?と問いかけて来る作品になってきました。
それで茶室に宇宙が生えてくるというということになってしまったのです。

いつもながら、彼の思索の深さと表現への執念に感服する閑々居であります。
ご高覧賜りたく。




6月


 




 まどろみは靄の中。漂う記憶の粒子が密に疎に、ほのかに発光する靄の中。

展示を終わって眺めているうちに、だんだん見えてきました。昼から夜への光のうつろいが、紙の上でゆっくりとドラマを繰り広げているのが。

極薄の墨を何度となく重ね、水のような群青を、目を覚ますな、と願いながら刷いていく仕業は、絵具の粒子がうれし泣きしそうな優しさだと思います。
所々に浮かべた墨の種は互いに囁きあって、静けさに気づかせてくれているし。

今回、茶室に平置きで165x230cnの「未ダ明ケズ夢ニ泛ブ no.1」を展示いたしましたが奇を衒ったわけではなく、彼にとってはまったく当然。
園家誠二さんが内包しているイメージは上下左右に広がっているようで、その下方に見えているこのような風景(?)を下に置いたというだけです。

「ゆっくり眺めてほしいんです。そう皆さんに伝えてください。」と頼まれました。私も同感です。そうしなければ見えないのですから。


 
 「未ダ明ケズ夢ニ泛ブ」 no.1   165x330cm
実際には、紙が発光しているような画面の上に、虹色の雲がかかっている趣きです。自然光のうつろいに感応して微妙な変化をみせてくれます。


5月

    5/24 thu.....6/7 tue
    EXHIBITION 
NOW 
  NAGAO Kazunori
 


長尾和典さんの新作を並べます。

先日、「原子111の新知識」という本に出会いました。
原子とはどういうものなのか、それぞれがどんな仲間を持っているのか、
どういう風に働くのか、といったことが判りやすく書いてある本当に目からウロコの良い本です。

様々な原子構造図を眺めているうちに
「原子達は、回転し、震えて、つながったり離れたりしているのにあまりに早く細かいから、
動画であろうと3Dであろうと表現できない。人間の眼には見えないんだ!」

と当たり前のことに気がつきました。

そうか、長尾君が私達にで伝えようとしているしている世界は、
人間の奥深いところに眠っている別枠の知覚がとらえているソレかもしれない。
想像でもない、解釈でもない、彼のその知覚がとらえている生きた原子構造図(?)の風景。

異能であります。そしてアーティストは異能者でなければなりません。


 
 [36-5] 1700x2610mm 和紙・墨


画面のクモの糸のような線がどうしても写りません。30%くらいしか見えていないと思ってください。




バックナンバー
3月

俳句の文字をめぐって
3月24日(土)−31日(土)

紙や絵具、墨に関わってまいりまして、絵から線へ、そして書へ。中国の書と日本の書の違いへ、 と次々に気になりだしました。そして、ずっとイジッている日本語がからんで、こんな企画をたてました。

象形文字を表音に使って「言霊の詩歌」を記したのは、1500年くらい前ですか。それは日本に文字というものを定着させ、かつ新興国日本の文化の独立を守る大和朝廷の文化政策だったわけです。
しかし、文字によって記録されることによって、言語の認識が変化し、思いがけず根幹に置いた詩歌自体が、いつしか言霊信仰から分岐する潮流を生んでいきました。
発声による呪術詩歌から、脳化したイメージの連鎖への変質が起こったのです。それは日本独自の文字のありようが生まれたということでもありました。

その顕著な結果が、今も脈々と受け継がれている「俳句」です。
もちろん物語のようなものも同じことが言えるのですが、特に俳句という形式の詩歌に判りやすく顕われているように思われます。
俳句は研ぎ上げた言葉の意味を骨のように組み上げて、活々とした身体をイメージさせるようなものでしょう。ですから記されるのは意味だけ。
そこで作者は文字自体が表現をしないように、意味だけが立ち上がるように、書かなければなりません。しかし観られることも意識して美しくあるように構成もしています。
その際々のせめぐところが、日本人の独特な文字の美意識を見せているようで、とても興味深いのです。

長く、こういったものを収集してこられた方の愛蔵品です。時代を追って、野々口立圃、西山宗因、三上角上、宝井其角、種田山頭火を並べてお目にかけます.
また、与謝野晶子、佐々木信綱の和歌もかることになりました。それはまた、意匠の美しさがあって見ごたえがあります。購入も可能。
素敵な展示になります。お出かけくださいませ。


2012年

1月
「壬辰
みずのえたつ森山知己展
1月19日(木)−31日(火)

 ご存知のように森山知己は日本画家として伝承されるべき描法や画材の地道な研究と、それに基づく作品を制作発表してまいりましたが、今回はまた、日本画ファンには見逃せない興味深い仕事をしてくれました。

さて近年来、尾形光琳の《紅白梅図屏風》の流水表現についての専門家による科学的検証がなされ理論的には解明されましたが、絵として成立させるとなると画家の出番。
多義にわたる知識と経験を見込まれて、森山知己に実験的な制作が委託され、あらたな科学調査の結果をもとにしてその描法再現を行いました。

その研究の成果は12月19日にNHK・BS『極上 美の饗宴』で放映されましたのでご覧になった方もあるかと存じます。小品ながらその技法を使った紅白梅図を展示、あわせて活き活きと平成24年の天空を翔る龍もお目にかけます。
新春の閑々居は瑞気に満ちるはず。お出かけくださいませ。

(下線消えない問題は、松崎未来氏によって1月23日月曜日に解決され、地図へのリンクも出来るようになりました。思いがけずのご助力に感謝、感謝。
) 


 
 紅白梅図 30x50cm  和紙・銀箔・金箔・岩絵具


   
 帰郷 24.2x33.2cm 和紙・銀箔・岩絵具   辰 45.5x30.5cm 和紙・墨




12月の展示

苧坂恒治 「函館+讃岐財田」
12月8日(木)-17日(土)

 昨年に続いて、今年も。苧坂恒治さんの陶芸展をいたします。

苧坂さんが故郷、香川県の讃岐財田に築窯。
そこで作られた塩釉の作品。コバルトと塩だそうな。
そう、香川は大昔から塩の産地でした。骨太のフォルムに、渚を想わせる釉。
広々と瀬戸内の海が見えてきます。

赤絵ウズウズは函館発。
華やかな文様と遊び心いっぱいのウズウズモノは変わらぬ人気で健在です。
今回も、たまらない魅力のウサカのウズウズです。


       
 塩釉ルリ彩手付き鉢  28,000円  赤絵羽根付小箱  8,000円  塩釉湯呑み  各5,500円  
       
 塩釉とっくり  9,000円  青彩マグ  各7,500円  塩釉とっくり  10,000円  
       
 赤彩紋角鉢  18,000円  塩釉ルリ彩酒器  10,000円  塩釉ルリ彩ぐいのみ  各4,500円  


6月の展示

藤井雷「
Hear nature for a while.
6/18(sat)−7/2(sat)
<
<BankART 1929>日本と<Seoul Art Space-Geumcheon>韓国の交流事業によって、2月〜5月、韓国に滞在。
韓国の厳冬の自然をモチーフに制作してきました。はじめての大作です。

     
 Forest in dusk 1500x2100mm 韓紙・墨・色墨  Frozen river 1500x2100mm 韓紙・墨・色墨  Mt,Seorak in a snow 1500x2100mm 韓紙・墨