2月22日より「2021 菊地武彦展」を開催いたします。
一昨年、菊地武彦は自身の必然的な表現として生んできた「線」を、人類が気づいた創造の出発点、「線」に立ち戻らせようという作品を発表しました。
図象の力を信じ、まだ見ぬ明日のために祈りつつ線を刻み図象を出現させて来た原初の画家達(?)の線です。
それを体現しようと作家も線をひいて、ひいて、ひいたことでしょう。身体の束縛から線が自由になれば心に繋がるはずと線に取り組んだ日々の結果の発表でした。その労は報われました。
その純化された初々しい線による作品に魅了された方々は少なくないはずです。
そして今回、2年間の「線」が展開を見せています。
現在に生きる菊地武彦として再び「線」を図象へのスキルとして使っています。言葉では言い尽くせない大切なモノを盛る器のような絵画。そして盛り込まれたモノこそが、作家を離れて他者と向き合う力です。
作品と向き合う人は様々。盛り込まれたモノが人々の意識の奥まで響いて、共鳴し、多様に受け止められていくことを作家は良しとしています。
私には盛られたモノが遠雷のように響いてきました。それは「祈り」です。