6月 園家誠二 未ダ明ケズ夢ニ泛ブ
6月 |
まどろみは靄の中。漂う記憶の粒子が密に疎に、ほのかに発光する靄の中。
展示を終わって眺めているうちに、だんだん見えてきました。昼から夜への光のうつろいが、紙の上でゆっくりとドラマを繰り広げているのが。 極薄の墨を何度となく重ね、水のような群青を、目を覚ますな、と願いながら刷いていく仕業は、絵具の粒子がうれし泣きしそうな優しさだと思います。 今回、茶室に平置きで165x230cmの「未ダ明ケズ夢ニ泛ブ no.1」を展示いたしましたが奇を衒ったわけではなく、彼にとってはまったく当然。 「ゆっくり眺めてほしいんです。そう皆さんに伝えてください。」と頼まれました。私も同感です。そうしなければ見えないのですから。 |
「未ダ明ケズ夢ニ泛ブ」 no.1 165x330cm 実際には、紙が発光しているような画面の上に、虹色の雲がかかっている趣きです。自然光のうつろいに感応して微妙な変化をみせてくれます。 |